※若干暗め、救われない感満載です。
ぽつり、零された言葉はあまりにも純粋で、けれどその声はあまりにも悲愴に満ちたものだった。
「夜なんて来なきゃいいのに」
苦しいじゃん、と付け足して、彼女は僕に視線を寄越す。間接照明しかついていない部屋で、彼女の瞳にはオレンジの灯りと僕の顔がしっかりと映っていた。
真夜中、午前零時過ぎ。同じベッドの中でぴったりとくっついて眠りに就くはずだったのに、彼女は「まだ起きてて」と僕にしがみついた。抱きついた、ではなく、しがみついたのだ。今にも崖から滑り落ちそうな、震える手で。
何かあったの、と訊くと、違う、と首を振る。違うものか、じゃあこの震えは何に怯えているのか。とにかく、彼女がどこにも落ちないように、壊れない程度の強さで抱きすくめる。風呂から出てきたばかりの彼女の髪は、まだシャンプーの香りが強く残っていた。
「……ごめん、苦しい?」
「ん、大丈夫。あたしこそ、ごめん」
少しずつ、震えが収まってきたのが分かった。安心出来たのか、僕にはよくわからない。けれど、怯えきった表情は消えていたと思う。
あのね、と彼女は話を始める。
「夢を見るの、おんなじ夢」
「うん」
「全部おんなじなわけじゃないよ。けど、最終的に結末が全部一緒なの」
「うん」
と、相槌を打ってみたものの、よく意味が分からない。彼女の視線はぐらり、揺らいだ。
「ある時は闇に飲み込まれて、あるときは空気に溶けるように影が薄くなって、ある時はどんなに追いかけても遠ざかっていって……」
後ろに回された彼女の手が僕の寝巻きをぎゅうっと掴む。絞り出すように、幾分小さい声で、彼女は終わりの一言を呟いた。
「全部、君がいなくなる夢、だよ」
オートマチック・
ナイトメア
(君がいなくなる夢を見るのは、君を失うのが怖いから)